トメさんに明日ボクは出撃します。明日海に散っても蛍になって帰ってくるよって言って、その方は亡くなってしまわれたんですけど、翌日の夜、食堂に蛍が飛んできたっていう伝説があるんです。
気になっていて一度は行ってみたいと思っていたんですけど、行って良かったな、って本当に思います。あんまり行くもんじゃないよって言う人もいるけど、僕自身、背負っているものって言ったらおかしいんですけど、感じる中で、空港から思いつきで行った旅行がそういう所に辿りついたってのがなんだか不思議なものを感じますし、心の中で感じるもの、思っていることって、何かしら形になるのではないかなと思います」 (※鳥浜トメさん、富家食堂は今はホタル館という資料館になっています)
会長は「行きたくて行った人は皆、感銘を受けて帰ってくる。会いたいとか、行きたいってのは距離じゃない、気持ち」そしてこんな風に続けられました。
「(身体が悪いなどの理由で)戦争にいけなかった人は、生き残って辛い思いをした。助かったって思わない。民主主義の世の中になっても、六十何年経った今でも、亡くなった人に申し訳ないと思っている。ずうっと肩身の狭い思いをしている。
今の自爆テロなんて、自分の命なんて何も惜しくない、何の価値も無い。信念、思想でしょ。でも日本人はそこまで行かなかった。武士道でいたから。最後に陛下万歳っていかなかった。みんなお母さん先立つ不幸をお許しください。不幸なんだよ、不幸って言っている。けどこれは検閲には引っ掛からない。先に死ぬからごめんなさいって。それは、死にたくないってことを言っているんです。そういう意味を捉えなければならない。先立つ不幸をお許し下さい、それは、死にたくないってことを言っているんです。実は前日モルヒネ打って麻痺させてた。酒もがんがん飲んだ。麻痺しない限り行けない。でもそれは歴史の表には出されない。
紙飛行機みたいのに乗って、敵艦に辿り着けないうちに亡くなった人もいるんですよ」
この後も「子供のころの空襲のかすかな記憶」をお話下さる方や、皆から「戦争は絶対いけない」「こんな平和な世の中なのに親子で殺しあうニュースが絶えない」など盛んに意見が出されました。
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「会長にオカアチャンを大事にしろといつも言われ、自分はどこかに連れていくくらいしか思い浮かばないから」とご夫妻で海外や国内の旅行を楽しまれているとお話下さった方に会長は
「偉いね、旅行を実行するのは。でもロマンは場所にはないよ、ロマンは人間にしかない。
…ある金は有意義に使って、明日も元気だったらまた稼げばいいのよ」
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