●●●

TOP

病は克服できる

幸福のプレゼント

復興への道

愛ある故に

入会案内



●東京月例会報告レポート


                     蛍の伝説

                                  平成21年8月2日  目次に戻る

  8月に入っても東京は梅雨のような不順な天候が続き、この日も午前中の雨が止み、どんよりとした蒸し暑い中をご常連さんや、お久しぶりの方たちが集まって下さり、楽しく盛り上がる中、一人の方のこんなお話を聞く事が出来ました。

 「最近自分の地元に出来た空港をプラッと見物に出掛けて、すぐ帰るつもりだったんですけど、福岡行きの便があったので乗ってしまった。その時のひらめき、直感だけで。福岡に下りて、ラーメンを食べて、翌日、そこにいきたいと思ったのか、流れでそうなったのか、鹿児島の知覧に行こうと思って、電車とバスを乗り継いで知覧特攻平和会館まで行った。
  行った人もいるかもしれませんが、知覧には太平洋戦争末期、陸軍の主要基地があって、大勢の若者が特攻で飛び立って行った。焼け爛れた遺書を見たり、語り部さんが色々話をしてくれるのを聞いて、とにかく胸が熱くなった。みんな最後は、やっぱりお母さんって、お父さんっていう人は少ないらしい。
  特攻隊員がお母さんと慕っていたトメさん※っていう食堂のおばちゃんがいるんですけど、展示されているトメさんと隊員との逸話を読んだりして、熱くなりまして。
  20歳までいかない子が何人も飛びたっていった。残りの人生はトメさんに上げますよって言って。トメさんは毎日毎日見送りに行って、最後に飛び立つまでお世話をした。とにかく人生観が変わる。今、自分は暇を貰っている身、その生き方が屑のように思えてきた。特攻を美化するつもりもないし、勿論戦争反対なんですけど、散っていった方々のことを思うと本当に胸が

熱くなりまして。
  トメさん自身の言葉として、〜何故生き残ったのか、考えてください。まだしなくちゃいけないことがあるから、生かされているんですよ〜 自分の立場を考えると、生かされているっていうか、自分の力で生きているんじゃない、何か役目、役割があるから、この場にいるんじゃないかっていうのがあるから。

  トメさんに明日ボクは出撃します。明日海に散っても蛍になって帰ってくるよって言って、その方は亡くなってしまわれたんですけど、翌日の夜、食堂に蛍が飛んできたっていう伝説があるんです。
  気になっていて一度は行ってみたいと思っていたんですけど、行って良かったな、って本当に思います。あんまり行くもんじゃないよって言う人もいるけど、僕自身、背負っているものって言ったらおかしいんですけど、感じる中で、空港から思いつきで行った旅行がそういう所に辿りついたってのがなんだか不思議なものを感じますし、心の中で感じるもの、思っていることって、何かしら形になるのではないかなと思います」   (※鳥浜トメさん、富家食堂は今はホタル館という資料館になっています)

  会長は「行きたくて行った人は皆、感銘を受けて帰ってくる。会いたいとか、行きたいってのは距離じゃない、気持ち」そしてこんな風に続けられました。

 「(身体が悪いなどの理由で)戦争にいけなかった人は、生き残って辛い思いをした。助かったって思わない。民主主義の世の中になっても、六十何年経った今でも、亡くなった人に申し訳ないと思っている。ずうっと肩身の狭い思いをしている。
  今の自爆テロなんて、自分の命なんて何も惜しくない、何の価値も無い。信念、思想でしょ。でも日本人はそこまで行かなかった。武士道でいたから。最後に陛下万歳っていかなかった。みんなお母さん先立つ不幸をお許しください。不幸なんだよ、不幸って言っている。けどこれは検閲には引っ掛からない。先に死ぬからごめんなさいって。それは、死にたくないってことを言っているんです。そういう意味を捉えなければならない。先立つ不幸をお許し下さい、それは、死にたくないってことを言っているんです。実は前日モルヒネ打って麻痺させてた。酒もがんがん飲んだ。麻痺しない限り行けない。でもそれは歴史の表には出されない。 紙飛行機みたいのに乗って、敵艦に辿り着けないうちに亡くなった人もいるんですよ」

  この後も「子供のころの空襲のかすかな記憶」をお話下さる方や、皆から「戦争は絶対いけない」「こんな平和な世の中なのに親子で殺しあうニュースが絶えない」など盛んに意見が出されました。

………………

  「会長にオカアチャンを大事にしろといつも言われ、自分はどこかに連れていくくらいしか思い浮かばないから」とご夫妻で海外や国内の旅行を楽しまれているとお話下さった方に会長は

  「偉いね、旅行を実行するのは。でもロマンは場所にはないよ、ロマンは人間にしかない。
  …ある金は有意義に使って、明日も元気だったらまた稼げばいいのよ」





←前月の東京月例会報告
←前月の京・このごろ会通信
同月の京・このごろ会通信
目次に戻る
このページの最初に戻る
次月の東京月例会報告→
次月の京・このごろ会通信→