今日このごろ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　平成21年3月1日　　目次に戻る

　「なんで優しい言葉の一つもないんだ、自業自得だ自我地獄だって、こんなムカツク本はないって所から始まって、それまで沢山買い込んでいた宗教本を全部捨てて、自分の鬱病を克服した」と、いつも十何年か前の『YOU』との出会いや例会に出席するようになった経緯などを話して下さるこの方ですが……皆もうすっかり覚えてしまって…いや、いや、そう言わず、できるだけ御本人の言葉のまま載せてみましょう。

　「以前の例会ではスピーチの前に『愛ある故に』をかけていた。最初はえっ、やっぱり宗教かな？って思ったりもしたけど、聞いているうちに自然と涙が溢れてくる『愛ある故に』って。あ、オレやっぱりお袋から愛されていたんだな、親父から愛されていたんだな。形は違うかもしれない、親父、お袋が間違っていたかもしれない、多分間違っていたんでしょう、僕からみたら。けど、愛されていたんだって、気がついた時、恨んでいたことが感謝に変わった。で翌月、会長の第一声が、あんたよく来たねー、あんたみたいな人一番こないと思っていた。これは一生もんの付き合いになるよって、今それが現実になっている。
　"会長、こんな酒飲み会じゃダメですよ、なんかやって下さい"って、旧自然会の話ですよ。その頃はバブルでみんなお金があった。会長が"じゃ普賢にいくぞ"って、実際行って、あっちこれをこっちにこれをやらなきゃいけないって、自ら資産を一ヵ月で使い果たしたのを見て、蜘蛛の子を散らすように誰もいなくなった。"なんでみんな居なくなっちゃうの"って会長に聞いたら、"最初からの人間の器よ。志は一緒でもその時は素的でも、本人が持っているもの。何百人もいたのに今十人しかいなくても、それは最初から十人なのよ"って平然と言ってのける。"ここからまた立ち上げていかなきゃいけない"って。
　　会長の息子さん"お前出来悪いね"って言われても"ハイ、そうです"って言える懐の深さ。人間って馬鹿って言われると腹たつ。会長に"お前馬鹿だね""うん、オレ、一番出来ない"って言い切れる懐の深さ。みんな肩書だけで生きている。そんなものはどうでもいい。元から持っていない。こんな子たちが次代を担ってくんだなーって。
　　今話題の映画『おくりびと』、うちのカミさんが癌になった時、"観たい、パパの運転で連れて行って"言うから、子供達も一緒にみんなで見た。当時は三分の一が空席だった。今は二時間、三時間待ちらしいけど。明日死ぬかもしれないって思った時、実際癌になった時、人間の生きる価値って何だろうって思ったらしいんですよね。
　　そんな今日このごろです」

　　会長「最近何も話すことないって、じゃ30秒で終るのかと思ったら、喋りだすと結構長くなる。シナリオが無いから、感性が勝手に喋っている。頭で考えていない。鬱病だって自分で治している。それは感性。嫁女は最初自然会なんて見向きもしなかったし、私の本も読まなかった。だって亭主みてたらロクでもないんだから（笑）、その先生はロクなもんじゃないって思うのが普通なんだから、よほど見抜く力があれば別だけど、分かんないよな。嫁女が分かったのは癌になったからよ。そこから急に接近してきてくれた。

なんでもっと早く気がつかなかったかなって本人が反省してた。
　　私の中では、今生明死、今日だけ、明日は死ぬんだなって中で生きていたら、わざわざ『おくりびと』観る必要ない。
　　私は、昔から親しい人にも死に顔を見せるな、死んだ時を教えるなよ、３年経ってから教えろって言ってる、信玄みたいでしょ（笑）。最近例会もないし、どうしてるのかなって３年経ってもまだ電話が掛かってきて、会いたいって人が居たらホンモノだ。その人たちを集めて偲ぶ会をやってくれって、これは私の遺言。だから香典もいらない。だって人との繋がりは肉体的には借り物だから、心の繋がりは永遠だから、殺しちゃいけない。送るってことは、送った上で自分の中からその人を抹殺しちゃう、お別れしちゃう、お別れしちゃいけない。永遠に生き続ける。その人の言葉、暖かみなり、みんな死んだらお別れしちゃう。だからボクは葬式は大嫌いなんだ。

　　…今日の出会い、いつもどこに行っても最後は名残惜しい、生きていることの素晴らしさ。だって生きてなきゃ、ここに来ないもん。喋れる、人の話を聞ける、同じ時間を共有できる。こんな素晴らしいことはない」