「少しはマシな坊さんになりたい」とおっしゃって初めて参加されたお寺のご住職に、
「気に入った、俺は偉いんだって言ってる人にロクな奴はおらん」
東会長は続けて「修業とか言って世俗を離れたりしても、誰の役に立たない。
宗教哲学をいくら学んでも、頭で分かることがじゃあ出来るのか、って言ったら違いますよね。
田舎に行くとお寺のご住職は、短い任期で直ぐに替わる村長より村の人に詳しい。家族構成や夫々の事情や誕生日まで知っている。人生相談だってするし、万一の時は駆け込ませてもくれる。
そういうお寺がある村には自殺者はまず出ない。
宗教の役割、人の幸福を願うってことはそういう事ではないですかね」
頭痛、肩凝り、かすみ目…etc お祓いに来られた当初は奥様の症状が29もあったという男性は、
「妻の溜まりに溜まった不満やうっぷんが今一気に爆発して、毎日大変なことになっている。結婚して四十年以上になるが、全然気付きもしなかったことばかり。
これまで言葉も思いやりも足りなかった、仕事にかこつけていたこともあった。その場で言い合っていればこんな晩年になって爆発しなくてすんだ。これも原因は自分にあることなので何とか受け止めたい。
そして自分は欠点だらけだってことに気付かせてくれた妻に感謝して、少しでも改善できるよう努力したい」
東会長は「浮気も無駄遣いもしていない、真面目に一生懸命働いて家庭に持って帰っていた人なんですよ、それなのに奥さんの不満は溜まりに溜まっていたんです。最近は色いろあった症状も5個くらいに減って、なおかつ軽くなってきている。
結局は、夫婦なんです。
だからお祓いに夫婦が片割れだけで来る人は難しいんです。子供や孫の問題とかいろいろあっても肝心なのは、そこなんです。
(原因は)分かってみれば、なあんだってことなんですよ、自分の我を減らせばいいだけ。俺は親父だ大黒柱だって言っている間は治りませんね。
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